『言の葉の庭』の都内のロケ地・撮影場所についてまとめてみた。
映像では主に新宿駅周辺、新宿御苑、千駄ヶ谷駅周辺が舞台となって登場。
この記事では、実際にそれらの場所へ足を運んで写真を掲載すると共に、映像や小説版のストーリーに出てきた内容についても記述する。
聖地巡礼や撮影をする際の参考になればと思う。
尚、掲載している写真は一部、2013年に撮影したものを使用する。
2013年は『言の葉の庭』が初めて劇場公開された年で、この頃の実際の東京の風景が映像に色濃く反映されている。
劇中の雰囲気を少しでも感じられる内容にもできたらと思ったので。
現在は様子が変わっている場所もあるため、ご了承いただきたい。
そして本編の映像にも注意書きが挿入されているが、
新宿御苑はアルコール類の持ち込みが禁止されている。
ユキノの真似をしてビールを持ち込まないように。
『言の葉の庭』公式サイト
https://www.kotonohanoniwa.jp/
新宿駅周辺
甲州街道・新宿マルイアネックス付近
映像で「六月」というテロップが現れる場面に登場。
甲州街道という大通りから見える景色が背景として描かれいていた。
その通り沿いにある「新宿マルイアネックス」付近の歩道に立つと、映像とほぼ同じアングルの景色を見ることができる。
「都会の喧騒」といったものをこの一つの画面で表しているようにも見える。
ビルが詰め込まれたように建ち並ぶ様子や、交通量の多い大通りの様子から。
この場面からやがて新宿御苑の場面に移り変わると、喧騒から一転して静寂に包まれた様子となり、見事な対比になっていると思った。
実際に新宿御苑へ足を運んだ時にも、騒がしい新宿駅近辺から離れるにしたがって、だんだんと静まり返っていくのが印象的だった。
・アクセス
JR線『新宿駅』東南口改札から徒歩7分
東京メトロ丸ノ内線・東京メトロ副都心線・都営地下鉄新宿線
『新宿三丁目駅』C1またはC4出口から徒歩1分
新宿駅東口・メガネスーパー前
電車を降りたタカオが、傘を差して新宿御苑へ向かう場面に登場。
赤い看板の「メガネスーパー」がひと際目立っていて印象深い。
映像では「メガネショップ」と表記が改められている。
甲州街道・環状5号線工事現場付近
タカオが傘を差して新宿駅を出た場面の後に登場するカット。
映像では、タカオが工事現場のゲートの前を右から左へ歩いていく様子が描かれていた。
尚、小説版では「いつまでも完成する気配のない環状5号線の工事現場」とも表現されている。
実際、 映像が2013年に公開されてから何年経っても景色が変わる様子はほとんどなく、小説の通り本当に完成する気配が感じられなかった。
2022年9月28日現在の様子。
工事用のゲートは撤去され、大きな道路が整備された様子が見られるようになった。
2023年1月3日現在の様子。
道路が開通し、たくさんの車やバイクが走行するようになった。
両端には歩道も整備されていて、歩行者も通行できる。
道路が開通した日は2022年12月3日で、言の葉の庭が映画館で公開されてから約9年半ほど経過してからのことだった。
ちなみに工事が長い期間となったのは、工事の計画後に地下にも道路を敷くように変更した経緯があったことや、地下にある様々な埋設物を移設しながら慎重に工事を進める必要があったことが関係していたようだ。
いつまでも完成する気配が感じられなかったのは、目に見えないところで様々な調整を長い期間にわたって行っていたからなんだなと。
●参照URL
新宿御苑
新宿門
タカオが新宿御苑に入る場面に登場していた入場門。
新宿駅から最も近い入場門であることから、タカオは以後もこの門から入園している。
・アクセス
JR線『新宿駅』東南口改札、甲州街道口改札から徒歩12分
東京メトロ副都心線『新宿三丁目駅』E5出口から徒歩6分
東京メトロ丸ノ内線『新宿三丁目駅』A1出口から徒歩10分
都営地下鉄新宿線『新宿三丁目駅』C1出口、C5出口から徒歩8分
入園ゲート
新宿門を通り抜けた先にある入園用のゲート。
タカオが入園券を買ってゲートを通過する場面に登場している。
写真は2013年7月3日に撮ったもので、『言の葉の庭』の映像にも出てきた当時のゲートの様子だ。
現在はゲートの機器が更新されている。
当時のゲートは鉄道の自動改札機のような構造で、切符と同じ要領で入園券を機械に差し込むと、ゲートが開いて入園できるようになっていた。
映像ではタカオが入園する際に、静寂の中でゲートがバタンと開く音のみ響く様子がとても印象深い。
新宿なのに、本当に静かな場所なんだなあと。
小説版でも、タカオが新宿御苑に入園する際の具体的な様子が書かれている。
「ガチャン、という自動ゲートが開く音」「二百円の入園チケットが改札に飲み込まれた」といった表現で記述されていた。
ちなみに入園券はゲートの機械に差し込むと、そのまま回収されて手元には残らない仕組みとなっていた。
小説版の「改札に飲み込まれた」という表現は、言い得て妙だなと。
2019年現在の入園ゲート。
映像が公開された当時にあった機器は撤去され、新しいものに置き換えられている。
また、入園券は回収されずに手元に残るようになった。
現在は入園券に記載されたQRコードを読み取り口にかざすと、ゲートが開いて入園出来る仕組みとなっている。
東屋
『言の葉の庭』の代表的な聖地と言っても過言ではない場所。
タカオとユキノが出会って交流を重ねるなど、本編で幾度も登場する東屋のモデルである。
ここ近年は作品の知名度が上がってきた為か、この東屋周辺に全く人がいない様子を見掛けることが滅多になくなってきた。
中のベンチに座ってる人がいたり、東屋全体の写真を撮ったりしている人たちをよく見掛ける。
東屋の形や、周辺の景色は映像とほぼそのままである。
異なる部分は中央に四角い台が設置されていることだろう。
実際の場所には、中央に灰皿の台が設置されていた。
現在は「禁煙」の札が被せてあり、灰皿の使用ができなくなっている。
東屋のベンチに座ってみる。
こちらはタカオの視点から、ユキノが座っている方向を向いている角度。
「チョコレートとビールって…」というセリフが思い浮かんできそうな。
でも、記事の冒頭でも書いた通り、園内はビールを飲むことも持ち込むことも禁止されているので真似をしないように。
こちらはユキノの視点から。
タカオが靴のデザインを一生懸命考えている姿が思い浮かんでくる。
ちなみに暖かい時期になると、ベンチにアリさんやクモさんがひょこっとお邪魔することがある。
映像では自然の緑の発色や雨の描写が綺麗で、どこかスタイリッシュな印象を抱いていたけれど、現地へ行くとごく普通の自然のある公園なのだと思い知る。
2022年10月8日に入園した時の様子。
柱の老朽化に伴う工事のため、現在は立入禁止となっていた。
立ち入りができなかったので、離れた場所から拡大して写真を撮る。
東屋のベンチの前にあった灰皿は撤去されており、映像に出てきた構図が再現されたみたいになった。これはすごい。
柱の工事が終わったら、また改めて写真を撮りに行きたいもので。
(コメントをくださった田中真理さん、灰皿の撤去について情報提供ありがとうございました。)
藤棚
映像では夏休みの明けた九月の場面に登場。
タカオとユキノが新宿御苑の中で久々に顔を合わせて、「先生の真似をしてビールを飲んで酔っ払って…」と冗談を言ったり、ユキノが以前語った短歌に対する下の句を述べたりといったやり取りが行われていた場所である。
藤棚は東屋から目と鼻の先にある位置関係。
千駄ヶ谷門
ユキノが入園した新宿御苑の入場門。
千駄ケ谷駅で電車に乗ろうとするけど結局乗れず、ここまで足を運んでいたというわけで。
自宅もこの近辺であるという設定から、以後もユキノは基本的にこの入場門から新宿御苑に入園している。
・アクセス
JR線『千駄ケ谷駅』から徒歩5分
都営地下鉄大江戸線『国立競技場駅』A5出口から徒歩7分
千駄ヶ谷駅周辺
JR中央・総武線『千駄ケ谷駅』ホーム
ユキノがホームで電車を待つ場面に登場。
新宿方面側、7号車乗り場付近にある時刻表の前がモデルになっていた。
※2020年1月20日現在、時刻表は駅改良工事に伴い撤去。
ちなみに映像では発車ベルの流れる場面もあるが、実際の千駄ケ谷駅で使用されている発車ベルの音に近いものが再現されている。
現在も新宿方面の電車が発車する際に聞くことができる。
2020年5月7日現在のホームの様子。
ホームの構造は映像が公開された当時から様変わりし、ユキノが電車を待つシーンに登場していた場所には柵が設置されるようになった。
これは駅改良工事によって、柵の向こう側に新たに新宿方面ホームが設置されたため。
その関係で、かつて新宿方面側だった場所からは乗車ができなくなっている。
尚、電車発車時のベルの音に関しては変わらず、現在も映像で再現されていた頃の音を聞くことができた。
エクセルシオールカフェ千駄ヶ谷駅前店
ユキノが利用していたテラス席のあるカフェのモデルとなったお店。
場所はJR千駄ケ谷駅の改札を出てすぐ隣である。
ユキノが座っていたのは、店舗の入口や歩道が近くにある辺りのテーブル。
映像が公開されてから店舗の方はリニューアルをしたようで、テーブルの向きなどの様子が変わっている。
ユキノがコーヒーをタカオに差し入れる場面もあったが、もしかしたらエクセルシオールカフェで購入したものかもしれない。
千駄ケ谷駅から新宿御苑に向かうまでの経路上にこの店舗があることから。
聖地巡礼の休憩場所としても重宝する。
Wi-Fiや一部に電源が利用できる席もあって、ネットをする環境も整っている。
・アクセス
JR線『千駄ケ谷駅』から徒歩30秒
都営地下鉄大江戸線『国立競技場駅』A5出口から徒歩2分
中華料理店『猪八戒 天竺』付近
タカオのバイト先の風景のモデルとなっている。
歩道と車道の間にある白のガードパイプ、後方にある「コーヨービル」の看板、鳩森八幡神社前の信号機などが映像でも描かれており、手掛かりとなった。
場所はJR線の千駄ケ谷駅から、鳩森八幡神社方面に歩いて5分ほどの所にある。
映像ではタカオが店内で働く様子も描かれているが、内装はモデルになった店舗のものとは異なる。
また、小説版ではタカオは東中野にある個人経営の中華料理店でアルバイトをしているという記述があり、ストーリーの中で設定されている場所も異なる模様。
尚、映像と同じアングルで撮る時は、カメラを地面に近い位置にしてしゃがんで構えることになる。
しゃがむと狭い歩道を塞いでしまうため、通行人への配慮が必要でシャッターチャンスは限られていた。
・アクセス
JR線『千駄ケ谷駅』から徒歩5分
都営地下鉄大江戸線『国立競技場駅』A4出口から徒歩5分
外苑西通り・新宿区大京町周辺
ユキノの自宅のマンションがある場所と推測される。
マンションは実在しないが、写真にある歩道橋の右奥側にあると設定されていたと考えられる。
推測したのは以下の2点の事実より。
①映像の終盤で、タカオとユキノがマンションの階段で涙を流しながら抱擁する場面で新宿御苑の風景が出てきていたこと。
②小説版のユキノのエピソードで「外苑西通り」の記述が度々出てきていたこと。ユキノが自宅からJR千駄ケ谷駅まで向かう場面などで確認できる。
外苑西通りは千駄ケ谷駅の東側にある大通りだ。
歩道橋のある辺りまでは、千駄ケ谷駅から徒歩で5分ほど。
外苑西通りに入ってからまっすぐ北上すると行き着く。
外苑西通りにあった歩道橋を上がってみると、新宿御苑の門と園内の風景を見下ろすことができる。
これは映像の終盤、タカオとユキノがマンションの階段で涙を流しながら抱擁する場面に出てきていた新宿御苑の風景とほぼ同じ。
外苑西通りで新宿御苑の門と園内の風景が見えるのはこの場所だけ。
なので、ユキノはこの辺りに住んでいるんだなと推測することができる。
架空の人物ではあるのだが、こういったことを特定しているとなんだか追っ掛けみたいだ。
ちなみにこの新宿御苑の門は作業用に設置されているものなので、一般の人が出入りすることはできない。
園内で作業するトラックなどがこの門を出入りしている。
外苑西通り一帯は、周辺にそこそこ高さのあるマンションがいくつも並んでいて、住宅地としての側面が窺える。
大通りなので車がよく往来してはいるものの、歩いている人の数は少なく、全体的に閑静な雰囲気が漂う。
実際住む場所としてのイメージは適当なのかなと、歩いてみて思った。
そのため、ユキノの住むマンションが実在しなくとも、この辺り一帯の雰囲気が映像で感じていた雰囲気と妙にリンクしてきて、ここで生活を送っていたのかなという想像が容易に働く。
言の葉の庭のストーリーが頭に浮かんできて、聖地巡礼の醍醐味だなと感じた。
近くにオシャレなカフェがあったので、入ってみたことがある。
おわりに
『言の葉の庭』の聖地巡礼をしてみると、映像と同じような景色が見られた喜びがあったし、新宿にも静かな所があるんだなという発見にもなった。
新宿御苑の景観が素晴らしかったし、千駄ヶ谷など新宿御苑の周辺の景色もいいなと思った。
都会的な建物が並んで整然とした雰囲気がありながら、全体的に静かで落ち着いた場所となっている。
作品全体の雰囲気にも、それらが色濃く反映されていたように思う。
歩いてみることで、言の葉の庭のストーリーを体感できたような気持ちになった。
この作品が好きだと思う人は、機会を作って足を運んでみてほしい。
『君の名は。』『天気の子』についても、聖地巡礼を行った記事をまとめている。
こちらも作品の世界を体感できる景色を色々見つけることができたので、チェックをしてみてほしい。